待つ男

保釈の連絡は来なかった。

感覚が研ぎ覚まされていく。そろそろチャクラも開くだろう。研ぎ覚ますだけ研ぎ覚まし、結局何もキャッチできない徒労感。

一日の終りに反省はいけない。その日のよかったことを思い出すのがメンタルにはいいらしい。

こんな場所なのに今日もなんとか耐え抜いた。

称賛に値する立派な事実だ。

今宵はきっとよい眠りを手にできる。ボクはボクを抱きしめて目を閉じる。

いつものことだ。大したことじゃない。

 

収監まで後48日

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遠野物語柳田國男

かつて青いコートを着た女と行った遠野の空はやけに広かった。河童がいなくて羊を食った。ボクの遠野物語はそんなだった。