ボクらの100日間戦争

覚醒剤というのは正しい生き方に挑んで敗れるための薬物であり、刹那主義の本質なのである。

なんてことをシニカルな顔つきでうそぶいてた頃もあった。

今は…覚醒剤って大事なものを確認するための試金石みたいに思えてる。

みんなと一緒に戦えた奇跡の100日間に心からサンキュウ。またね。

 

 

f:id:cubu:20220306112126j:image

あと田中さんと宮本さんも、字間違えてたりしたらすみません

 

 

ボクの終わらせたい日記はいつまでも続いてしまう

https://kizureach.hatenablog.jp/entry/2023/08/13/131219

 

収監前夜

保釈後の挨拶に行った次の日から今日まで約二ヶ月間、働かせてくれたーつまりは居場所を与えてくれたークリニックにありがとうを言いたい。

何を言ってもジャッジされないサンクチュアリ。責める者のいない場所では罪悪感も意味をなさない。ボクの中に根源的に存在していた「ごめんなさい」はだんだんと消えていった。

「刑務所なんかで変わってやるか」が口癖のボクは正直な話、今だって覚醒剤をやめたいとは思っていない。だからやめているこの状況に対して誰にも「ありがとう」を感じることはない。

「ごめんなさい」も「ありがとう」もないフラットでニュートラルな関係。

こんなに恵まれた保釈生活を送っている人間なんてそんなにいないと思う。きっと中野区でベスト10には入るんじゃないだろうか。

明日に備えて準備は万全。あとは気持ち待ち。今夜はきっと眠れない。シェルターの布団を向かいのランドリーに出しに行こう。

 

明日は判決(多分収監)

f:id:cubu:20220307221437j:image

梅?桃?桜?どれだとしてもきれいだな♪

 

最後の余暇

午前中休みをもらってやって来たのはー最後の余暇に選ばれたのはー村上春樹ライブラリー。予約してやっと入れた。

入館時、図書館司書みたいな人に「こちらの階段は段差が二種類あるので気をつけてください」って説明を受けたのに…見事転んでしまった。危うく蒲田行進曲になるところだったぜ。

f:id:cubu:20220308154518j:image

恥ずかしすぎていられなかった。滞在期間5分。あー無情。それでも自意識の塊のような空気感には当てられたようで 帰りにマックに行こうと思ってたのにモスに入ってしまった。

ボクにはブックオフのハルキが一番しっくりくるみたいだ。やれやれ。

 

収監まで後2日

f:id:cubu:20220308154529j:image

 

 

 

 

 

 

 

さようなら全ての…

今は午前4時。日がのびたとはいえ外はまだ暗い。昨夜は0時にベッドに入った。2時くらいに目が覚め、だましだまし横になっていたがあきらめて起きることにした。

職場の同僚がここのところボクの夢をよく見ると言っている。夢の中でもボクは忙しい。人は眠りの中でつながる。うまく寝つけないのはそのせいなのかもしれない。

昼間は仕事をして、夜は仲間とさよならの会食。そんな充実したルーティンが続く。充実しすぎて、たまにヒューズが飛ぶ。

美味しい食事をしていてもまったく味がしない。

熱心に話し込んでいても何を話しているのかわからない。

心から笑っていても笑顔のままで固まる。

そういうことがたまにある。現世に馴染めずプスプスと存在が途切れてしまう綾波レイのようだ。

白白と明るくなる空。安心と絶望の朝焼けだ。

 

収監まで後3日

f:id:cubu:20220308052627j:image

 

生前葬なオレ

そろそろぼちぼち準備しなければ…

・冷蔵庫とブルーレイレコーダーの処分(もしくは買取業者へ引き渡し)。

・預かってもらう荷物の郵送。

・二年先までの郵便物の郵送処理。

・携帯電話、WIFIの解約。

アマゾンプライムの解約。

Spotifyの解約。

・部屋の掃除。

・養育費の自動振り込み処理。

・関係者へのメール連絡。

まずはソフトバンクに行ってみた。

「海外に行かれるんですか?」

「ええまあ」

「コロナもありますしお体に気をつけられてくださいね」と労ってくれて勇気づけられた。接客満足アンケートは満点にしておきました。

 

収監まで後4日

 

アイドルなオレ

初公判が終わった。判決は一週間後の同じ時間、同じ法廷になった。

心配をかけた友人たちに報告したら、もう一度会っておこう言ってくれる人たちも多く(今生の別れではないんだが)最後の晩餐の予定でスケジュールが埋まっていった。人気タレントになった気分だ。ただ思ったよりも裁判で精神を消耗してしまっていて週末のひとりの時間は確保させてもらった。

これまで逮捕によってボクは人生をリセットしてきた。逮捕前の生活はその後にいっさい引き継がなかった。今回は違う。逮捕前と逮捕後の人間関係が変わらない。このほどよいプレッシャーに戸惑う。

レバ刺し、酸辣湯、鰻、たこ焼き、サイゼリヤ千疋屋…さてさて何をごちそうしてもらおうか。

 

収監まで後5日

f:id:cubu:20220306094345j:image

今夜はここで白子天にあん肝に焼き牡蠣に…

落星前夜

はたして有罪判決を前に壮行会を催してもらえる被告なんて世の中にどのくらいいるのだろう。
ボクはやってもらった。
誰かのやさしさにまず甘える。それが一番はじめにできる恩返しなのである。
職場でこじんまりやろうとの計画だったが、あの人もこの人もとどの面下げて欲張った結果わらわらと集まる集まる。
保釈中の恥はかきすて。この事件がそれぞれのよき出会いのハブになればと思った。
主賓なんで挨拶した。
「今日の裁判はとてもいい裁判だと思いました。
前回は弁護士の先生と二人きりで、反省して更生をちかって、ハームリダクションなんて言葉がまだなかった頃だったし、もやもやしたまま、けど裁判ってのはそういう場所だとわりきったものでした。
今日のボクは反省する男という立場だけでいることができました。
社会復帰と更生についてはIさんとTさんにおまかせできたし、薬物政策について思うことは先生の最終弁論が全部代弁してくれました。
これを一人で話すとなると「あなたそんなに欲ばって、ただ刑務所に長く行きたくないんでしょ」ってつっこまれそうで…
今日はほんとうに楽させてもらえました。
今日みたいな裁判はきっとめずらしいんだと思います。ボクはめぐまれています。ありがたいです。
家は三回建てないと納得いくものはできないと言いますが、裁判もそうなのかなあと。
三回目でやっと…四回目はないようにしたいです。
出所後の自分の人生をわくわく思える機会というか環境を与えてもらい感謝しています。
捕まってよかったとは思えませんがいつかそう思えそうな気もしています。
何はともあれありがとうございました。じゃもう一回カンパイしましょう。カンパーイ!」
判決は来週。こんな風に落星前夜はぐんぐんと盛り上がり、どんどんとふけていくのであった。