キメセク御膳
傷害や窃盗の人が示談や嫌疑不十分で釈放されていく。笑って送り出せない。ボクのメンタルは調子が悪い。
「どうしてなんにも悪いことをしていないオレが…」に取り憑かれ憤る。へその奥あたりがきゅっとなる。ここに来た日のあの発作がやってきそうな兆候。怒りで終わらせてはいけない。別の感情の着地点を見つけなきゃ。考えるんだ!オレ。
ボクは逆立ちをする。すると砂時計みたく足元に溜まった邪気がすっーと頭の方におちてくる。準備はできた。クスリがないときにはボクは考えてストレスを発散させる。
目には目を。毒には毒を。イライラには覚醒剤を。
かくれてやるクスリは気持ちいい。止められるほど効きがいい。背徳感効果ってやつだ。ここを出てから、ガツンと大量のモノをいれる妄想にボクは浸った。ぶっ飛びながらぐんぐん堕ちていく倒錯。
パケ、ポンプ、ポカリ、ペパリーゼ、ペペローション…机に並べるキメセク御膳。いい感じはどれも破裂音ばかり。どうでもいい気づきに何もかもアホらしく思えてた。ああボクってなんてバカで可愛そうなんだろう。
『百花』川村元気
両親も早く認知症になってボクの記憶を手放してくれればいいのに。