ボクは何も悪くない

女性タレントの自死のニュースで部屋はしみったれた雰囲気だ。閉塞した環境はネガティブが伝染しやすい。そこにホスト君への「追起訴」の通知。かける言葉がない。

タイミングよく弁護士の先生が面会に来てくれ、ボクは逃げ出すように部屋を出た。

「今、保釈申請の準備をしているところです。ただ、年末なので窓口が閉まるでしょうし手続きがスムーズに進んだとしても、出れるのは年明けになるかと思います。ここまでは保釈が通る前提での話ですが、もう何度も捕まっているので保釈自体難しいと思っておいてください。却下された場合、起訴されてますし拘置所への移送となります。新宿署の留置はいつも混んでるので移送はけっこう早いかもしれません」と先生は説明してくれた。

勇気づけられる要素は何一つなかった。

ひとしきり落ち込んで深呼吸をする。こんなことで落ち込んでやるもんかと気分を入れて部屋に戻る。

この状況を悲しいと思うし、自分のことをバカだなあとも思う。だけどやったことに対して悪いとは思えない。もしかしたら思いたくなくて思えないのかもしれないが、どちらにしても悪いとは思っていない。だから悔やんだりしないし、反省もしない。後悔は少ししているが、それは使ったことではなく、捕まったことに対してのものである。遵法意識が低いと言われようものなら、そっちだって想像力がないと言い返したくなる。起訴されたとたん好戦的になってしまうボクなのであった。

自分を正当化するための事案に固執することでどうにか今を切り抜ける。

そう!ボクは何も悪くない。

 

 

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『すれ違う背中を』乃南アサ

どうしてそんなにビクビクして生きてるんんだろうと思ってしまう。きっと出所者のリアルは自分にしかわからないと思っているボクの共感性の欠如が原因だろう。