はいっ!次行ってみよう

この一週間は保釈を勝ちた取るために費やせる限りのエネルギーを投じた。

起訴されたショックはまだあるにはあるが、そこにとどまる暇はない。

こういう気分の立て直しがボクはとてもうまい。(ネガティブの持続力が欠落しているともいえるが…)。

弁護士の先生は職場の上司へインタビューして供述書をつくったり、保釈保証協会のことを調べてもらったり、忙しく動いてくれた。

ボクはボクで保釈中いかにまっとうに過ごすかを並べ立てた供述書を作る。出たい理由でなく出なくてはいけない理由をどれだけ効果的にみせるかが腕の見せどころだ。完成した陳述書は便箋5枚に及んだ。なんてね風なしたり顔の形式的出来栄え。

陳述書、手紙、反省文…誰もが納得しても自分だけが納得できない。「またどうせやる」とどこかで諦めてるからだろう。何度目なのかわからない「もうしません」へのサインを書きながら、また嘘つきなる準備が整えられてしまったとボクは思う。茶番だよな。裁判なんて。

弁護士の先生は保釈について「一割くらいの可能性かな」と言うが、ボクは「間違いなく通る」という確信を持っていた。

この根拠のない自信が原因でボクはここまで堕ちてしまったんだが、この根拠のない自信があったからこそ、ここまで生きながらえてこれたんだとも思う。

 

 

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『物語の終わり』湊かなえ

最後のトリックが明かされる場面で毒がすーっと抜けていく心地よさ。