怒れる男

その人は立腹していた。

ビールを数杯飲んで焼酎のボトルをあけてもその怒りはおさまらなかった。

どうしてこんな理不尽がまかり通るのかと声を荒げてボクに訴えた。

その理不尽とはボクが収監される話である。

「今回のことがあってボクの周りも色々と変わることもあったし、その変わるきっかけになったことは確かだし、ブログを書くこともできたし、無駄じゃなかったと思ってるよ」とボクは言った。

「それは確実に詭弁ですね。納得いかない。絶対におかしい。2年間の収監生活ははっきりいって必要ないことです」とボクの意見を切り捨てた。

切り捨てられても仕方ない嘘言なのでボクは甘んじた。

さわやかに飲んで酔って愚痴って別れるつもりだったボクの目論見は外れた。

店を出たら雨が降っていた。

 

ボクは今のボクらにはアウトプットが必要だとアセスメントした。

夜の街で怒りも詭弁も悲しみも吐き出せる場所…カラオケに行った。

ボクらは歌った。

彼の怒りを癒そうとしていたボクは歌ううちにヒートアップしていった。

交わしたい言葉を後回しして二時間歌い続けた。

店を出たら雨はやんでいた。

 

中野駅まで歩いた。二年後にまたここで会おうと約束をし、ボクらはハグをして別れた。こんなに自然にハグできたのは収監がさしせまったからだと思ったが、もしかしたらこれも詭弁的行為なのかもしれない。

今、ボクのアンセムは髭男の『発明家』だ。

止めないで 反抗期のパレード♪

自転車に乗りすれ違う人も気にせずに歌う帰路。とても気分が良かった。

 

週間まで後16日

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高校の同級生とオンラインで飲んだときに「また捕まった」って言ったら「アホ」と一言で切り捨てられた。これもまた正しい反応なのである。

 

 

高校の同級生とオンラインで飲んだ。