建設的妄想

臨時特別給付金の10万円を誰かが受け取ったという話を耳にしたときには、ボクは「よかったですね」と笑顔で答えるようにしている。そうすると決めている。決めておかないと「いいなあ」と羨む本心が態度になって飛び出てしまうから。

メインの仕事をクビになってからのボクの生活は綱渡りライフである。ギリギリの生活から落ちるのがこんなにたやすいことで、そういう生活がこんなにも自分を卑しい性格にしてしまうことをボクはわかっていなかった。

今日家に帰ったら思いがけず給付金の申請書類が届いていた。ボクはもうすでにギリギリアウトの切迫世帯だったようだ。10万円あれば2年間の刑務所暮らしには十分だ。助かったと思った。ボクは自分に「よかったですね」と言ってあげた。

だけど安心はできない。刑務所の病舎での作業工賃は一日数円だから、年収1万円程度の世界になる。東京でゼロからの新生活をはじめるとなると、家を借りるための初期費用に生活準備金、すぐに仕事が見つかったとしても給料が入るまでの二ヶ月程度の生活費が必要となる。少なくても50万は手元にないとやっていけない。

「金もコネもないやつが東京で生き延びるには悪いことするしかないんですよ」と振り込め詐欺をやっていた子が言っていたのを思い出した。出所してもまた悪いことをして戻ってくる者が多い理由はそういうことなんだろう。

刑務作業を最低賃金換算にすればいいと思う。きちんと働けば二年で300万は貯まる。それだけあれば、じっくり仕事も探すことができるし、これからの生活について考えることもできるはずだ。

ついでに刑務所内での医療費も保険対応にしてしまえば、受刑者の「湿布くれ」だの「眠剤を増やしてほしい」だのの訴えも減るんじゃないだろうか。(刑務所の医療費は全て施設側の持ち出しになり、例えばHIV薬を毎日服用しているボクへの負担金は月に50万以上かかっているそうだ。)

色々と妄想は尽きないけども、やっぱりお金って大事だと思う。

 

収監まで後22日

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金が全てじゃないなんてきれいには言えないわ♩