いけない水

久しぶりに泥酔した。

酩酊だといっても差し支えない。

誰が見ても納得できるどこに出しても恥ずかしくのない、それはそれは見事な出来上がりの酔っ払いだったはずだ(記憶がないので実感に乏しいが仕方ない)。

中華に連れて行ってもらいビールから紹興酒を三本あけたあたりまではまだしっかり…いやあのときにはもう相当できあがってたんだろう。

「まで」と「まだ」と「もう」の見極めがつかないのは回復途上のアディクトだから致し方ない。

二丁目のレズバーの階段で派手に転んだのを最後に記憶は途切れた。

家には帰りつけてたようだ。

脱ぎ捨てられた洋服の軌跡、投げ散らかされたリュックの中身、飲みかけの麦茶の痕跡、そして二日酔いの頭痛。

自分のやらかした事態の責任を自分一人で引き受ける日常。

あゝなんと豊かなんだろう。

財布の中身は1,000円程度しか減ってなかった。この境地に辿り着いたのはいつ以来だろう。覚醒剤だってこうはならならない。

流石はキングオブドラッグ、アルコールだ。

 

収監まで後29日

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あの夜、ボクが見ていたミロの世界。