雑居でゲイバレする

エロ本が回ってくる。スリ師さんのエロ本…そんなつもりはなくても踏絵として作用してしまうこの状況。ボクは…飲み込むようにページをめくって、丁寧に謝辞を述べ、スリ師さんへ返却した。

「14番さんは、バイなんですか?」とホスト君が聞いてくる。そっこうバレてしまったみたいだ。ゲイ(もしくはホモ)なのかと聞いてこなかったところに彼の配慮を感じた。ゲイだとカミングアウトすることがやさしへの応えではない。秘するは花。詳らかにしすぎても色気がない。

ゲイだってうちあけたところで「そうなんですね。友達にもいるし全然気にしないんで大丈夫ですよ」って言われたりするんだろうけど、それってつまりはゲイの存在はまだ偏見前提案件なんだってことで、こんなところで思い知らされてたくはない。

「えっ?ストレートだよ」ととぼける。ベクトルはまっ直線に男性へ向けられたどストレートだ。嘘ではない。

誰もそれ以上話題を堀り下げない配慮。時代は変わっていた。

セクシャリティを晒さず、けど自分らしさも捨てない生き方って、ほんとに至難の技なんだよなあ。けどここではそれに挑んでみようと思う。

 

 

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『ワラをつかむ男』土屋賢二

がんばってる(がんばれてる)人の姿が目に痛いときがある。「安心してください。わたしはこんなにふざけて生きてますよ」と言われるようで安心できる。こんなユーモアを身につけたい。